太平洋岸自転車道を経由して小さなローカル線を訪ねる


三島駅からスタートとしたサイクリング は、予定になかった柿田川公園で時間を使い、沼津港は少々「密」につき素通り。そのまま松林を抜けて海沿いを走り、小さなローカル線の駅を目指すことにした。

前回: 予定外?だった柿田川の透明度に見とれる – CyclingEX

沼津港で何かを食べることは、諦めた。とにかく堤防の上に出ると、右手前方に千本松原が広がり、左手には駿河湾、そして正面には富士山が見える。港に比べると人が少なくて、静けさすら感じる。

台風が近づいていたので心配していたが、風はおだやかそのもの。このまま、堤防上に設けられた太平洋岸自転車道を田子ノ浦方面へと進む。食事は、途中でコンビニにでも立ち寄って済ますことになるかもしれない。

湿度はあるが薄曇りでほどほどに涼しい中、富士山を視界に入れつつ黙々とペダルを回した。今回のお供は6段変速の「BRIDGESTONE CYLVA F6F」なのでスピードはたかが知れているが、4万円台のフォールディングバイクとしては、よく走る部類だ。ロードバイクとすれ違い、しばらくして折り返してきたそのロードバイクに抜かれたとしても、F6FにはF6Fの世界がある。

結局、JR東田子の浦駅近くの旧東海道沿いにあるセブン-イレブンに立ち寄り、パンをコーラで流し込んでから、田園風景の中を北へと進んだ。

稲刈りを終えたばかりの田んぼと、その向こうを走り抜ける東海道新幹線。富士山は、残念ながら雲の中に隠れてしまった。少し待ってみたが、雲はどいてくれそうにない。

じゃぁ自転車と新幹線を撮るか……と思ったら、今度は新幹線が来ない。さっきまで「山手線か!」というような感覚&間隔で何本も通り過ぎたのに。もちろん、諦めて先に進んだ30秒後に新幹線が来たわけだけど。

それはそうと、この写真でカメラが向いている方向に、小さなローカル線の終着駅がある。しばらく行って「たぶんこの先あたり」と思ったら、通り過ぎていた。あわてて戻るが、今度は駅への入口がわからない。少し探して路地のようなところを入ると、岳南電車の岳南江尾駅があった。

岳南江尾〜吉原間、距離にして10km足らずのところに10の駅があり、昼間は単行(1両編成)の電車が走るローカル線だ。数年前まで貨物列車が走っていたが今は廃止されて、今は旅客営業だけとなっている。

駅舎の写真を撮ったら、急いで輪行状態にしてホームに入った。1時間に2本だからね。

左側の赤い電車は、お昼寝中。そしてちょうど、始発駅・吉原からの電車が到着した。背後の高架橋は、東海道新幹線だ。

お昼寝中のこちらは、元・京王線の電車。

これから私が乗るこちらの電車は、同じ元・京王だが、井の頭線を走っていた電車だ。中間車だったものに、オリジナルの先頭車と同じ形の顔をくっつけてある。

折り返し時間は短くて、電車はすぐに発車した。そういえば、路面電車以外で単行の列車って、初めてかも。ワンマン運転で、路線バスみたいな運賃箱がある。

岳南電車が走るのは、静岡県富士市内。周囲は住宅か工場で、そこを「縫うように走る」という表現がぴったりの路線だ。意外と……と言ったら悪いがお客さんが乗っていて、車内から写真を撮りまくるという感じでもなかったので、とりあえずGoogle Mapsの埋め込みで雰囲気をつかんでほしい。

製紙工場のあいだを、通り抜けたりする。工場夜景でも有名だそうだ。

リンク: 岳南電車株式会社

そして、いたるところから富士山が見えるはずなのだが、相変わらず雲に隠れていた。まあ、チラ見えでも富士山だとわかるのはすごいな。

それはそうと、早い話が時間が足りない。

岳南江尾から吉原まで岳南電車に乗ったあと、吉原から岳南江尾まで沿線を自転車で散策しつつ写真を撮りたいと思っていたけれど、三島駅を降りたのが11時前、予定外の柿田川に寄って、岳南江尾に着いたのが14時すぎ……では遅すぎるのだった。

とはいえ、柿田川の透明度も、太平洋を眺めながらのサイクリングも、そして岳南電車の車窓も、自分に頭の中に深く刻み込まれたのは間違いない。「もっとじっくり、時間をかけてめぐりたい」という新たな欲みたいなのが、湧いてきた。

「こりゃ、再訪だな」などと思いながら、吉原駅で岳南電車からJR東海道線へと乗り換える。そして、JRの橋上駅舎に上がって改札を入ったところで視界に飛び込んできたのが、これだ。

これを絶景と言わずして、なんと言うのか。

もちろん、現役の製紙工場。

語彙なんて不要。三島行きの電車が来るまで時間があったので、しばらくこの景色を堪能した。

車両提供:ブリヂストンサイクル

(SUGAI Gen)