「ちょっと古いコルナゴ」とさよならできなかった話

COLNAGO(コルナゴ)が2005年モデルとして2004年に発表した「E1」は、当時流行の“グランフォンドモデル”のひとつでした。

当時のフラッグシップモデルはもちろんレーシングモデルの「C50」ですが、E1は当時欧州で増えてきていた長距離サイクリングイベント、つまりグランフォンドを楽しむためのロードバイクとして登場しています。現在のコンフォート系やエンデュランス系のロードバイクのはしりと言えるでしょう。

私はその、2006年モデルを所有しています。

2006年モデルが出た当時、グランフォンドモデルとしてはCINELLI(チネリ)の「MECANO(メカーノ)」がダントツにかっこよく、COLNAGOもE1を出した翌年にも関わらず、よりハイスペックな「CRISTALLO(クリスタロ)」というバイクを出してきました。ただ、CRISTALLOはE1よりはレース向けの位置付けで、いちおう「チーム・ミルラム」にも供給されてC50やExtream-Cなんかと使い分けられていたように記憶します。

そのCRISTALLOが出た影響かどうかわかりませんが、E1はミドルグレードのコンポーネントで組まれた完成車で販売されるようになり、ぐっと手に入りやすくなったこともあり、勢いもあって購入しました。

現在のエンデュランス系ロードバイクと違ってタイヤは700×23Cが標準ですが、ヘッドチューブが長めであったり、コンパクトドライブが標準であったりといったスペックは「週末に100km気持ち良く走りたい」「ときどきヒルクライムにも出たい」と思っていた私には、まさにぴったりな1台だったのです。

実際にそれほどロングライドをしたわけではありませんが、私にとっての定番である江ノ島方面へのサイクリングやヒルクライムレース、輪行サイクリング、さらには近所の定点観測的なポタリングまで、このE1でいろいろと楽しみました。

ただ、最近はすっかりグラベルロードやMTBでダートを含むコースを走ったり、もしくは気軽なクロスバイクに乗ることが多くなってしまい、E1の出番がほとんどありません。ずっと部屋の中でラックにかかっているくらいなら——と思い「メルカリ」に出品してみたこともあるのですが、そのときは買い手が見つかりませんでした。

「じゃぁ、中古屋さんにでも持って行ってみるか」

というわけで、ある日、必要書類を用意した私は「サイクリー」へと向かい、14年間連れ添ったE1の査定をしてもらうことにしたのです。

店内には中古の自転車がロードバイクを中心にずらりと並び、中には個人的に「お、懐かしい、かっこいい!」と思えるようなものもあって、一瞬心がゆらぎそうになりつつ、査定を待ちます。

そして30分弱待ったでしょうか。出された結論は「買取できない」というものでした。

買取できないというその原因は明確。

こちらです。かなり前にチェーンが落ちたときに傷がついて、クリアがごっそり剥げているのです。

査定をした店員さん曰く「通常の使用に問題がるようには思いませんが、実際に販売するとなると、この部分に傷があるものは難しい」と。

なるほど、ごもっともな話でございます。

そんなわけで、E1売却は未遂に終わったのでした。

さて、どうしよう?

後日、シティサイクルがわりに——なんて言ったらE1に申し訳ないですが、フラットペダルを取り付けて、普段着でまたがって街まで出てみました。乗車姿勢はグランフォンドモデルとはいえロードバイクのそれですが、軽くてしっかり進み、かつ乗り心地もよく、今でも十分使えるものです。

いっそフラットハンドルで組み直して、散策用自転車にするのもよいかもと思い始めました。

COLNAGOの2012年モデルに「CLASSICA」というフラットバーロードがあったのを覚えている方は、あまり多くはないかもしれません。

当時のエントリーカーボンモデル「ACE」のフレームをフラットバー仕様にしたモデルで、コンポーネントはなんとシマノ・2300(今でいうクラリス)。でもまあ、こういうのもアリなんじゃないかと、思ったり。

そして、そんなフラットバーの自転車で好きなところに輪行して、30kmくらいサイクリングしてまた輪行で帰ってくるなんていうのも、悪くないよね——とか。

さて、どうしよう。

いずれにしても、いちど手放すと決めたはずのE1は、当分のあいだ我が家の自転車スタンドに鎮座することになりそうです。

(SUGAI Gen)