搭乗者を問わず業務での利用もカバーする自転車の保険!?「TSマーク」についておさらいする

駐輪場に置かれているシティサイクルを見ると、シートチューブなどにこんなマークが貼られているのを、よく見かけます。

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ん、見にくいですね。

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いわゆる「TSマーク」です。

「普通自転車点検整備済」「(公財)日本交通管理技術協会」「賠償責任・傷害保険付き」などと書かれています。

このTSマークの意味、おさらいしてみたいと思います。

自転車安全整備士が点検整備すると傷害保険と賠償責任保険が付いてくる

(公財)日本交通管理技術協会のWebサイトによれば、TSマークは次のような意味を持ちます。

自転車安全整備士が点検整備した普通自転車に貼付されるもので、このマークには傷害保険と賠償責任保険が付いています(付帯保険)。

自転車安全整備士とは、(公財)日本交通管理技術協会の「自転車安全整備技能検定」に合格した整備士のことです。

TSマークの対象となる自転車は「普通自転車」

TSマークの対象となる自転車は、道路交通法施行規則が定めるところの「普通自転車」です。

第二章の二 自転車に関する基準

(普通自転車の大きさ等)
第九条の二  法第六十三条の三 の内閣府令で定める基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
一  車体の大きさは、次に掲げる長さ及び幅を超えないこと。
イ 長さ 百九十センチメートル
ロ 幅 六十センチメートル
二  車体の構造は、次に掲げるものであること。
イ 側車を付していないこと。
ロ 一の運転者席以外の乗車装置(幼児用座席を除く。)を備えていないこと。
ハ 制動装置が走行中容易に操作できる位置にあること。
ニ 歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。

リンク:道路交通法施行規則

記事冒頭に「シティサイクル」と書きましたが、普通自転車なら、いいんですね。

TSマーク付帯保険の内容

TSマークには、補償内容の違いにより「青色TSマーク」「赤色TSマーク」の2種類があり、その内容は下記のとおりです。

傷害補償

TSマークが貼付されている自転車に搭乗している人が、交通事故によって事故の日から180日以内に入院、死亡又は重度後遺障害を負った場合は、次の表の金額が一律に支払われます。

青色 死亡若しくは重度後遺障害(1~4級):30万円、入院(15日以上):1万円
赤色 死亡若しくは重度後遺障害(1~4級):100万円、入院(15日以上):10万円

賠償責任補償

TSマークが貼付されている自転車搭乗者が第三者に死亡又は重度後遺障害を負わせたことにより、法律上の損害賠償責任を負った場合に、次の表の通り適用します。

青色 死亡若しくは重度後遺障害(1~7級):1,000万円
赤色 死亡若しくは重度後遺障害(1~7級):1億円(注1)
※重度後遺障害の等級は自動車損害賠償保障法に定める等級に該当します
注1 平成29年10月1日より適用された新しい補償内容。平成29年9月30日までに貼付された赤色TSマークは5,000万円。

被害者見舞金

平成26年10月1日以降に点検・整備して貼付された「赤色TSマーク」から適用。

TSマークが貼付されている自転車搭乗中の人(加害者)が第三者(被害者)に傷害(入院加療15日以上)を負わせ、法律上の損害賠償責任を負担した場合に、次の表の金額が一律に支払われます。

赤色 入院(15日以上):10万円

TSマークはどうすれば貼ってもらえるのか

TSマークは、(公財)日本交通管理技術協会の「自転車安全整備技能検定」に合格した自転車安全整備士が勤務し、TSマークの取り扱いを行なっている、全国の「自転車安全整備店」にて、自転車の安全点検を受けることによって貼付されます。

この作業は有料で、料金は店舗が独自に定めています。

TSマークを取り扱っている販売店で自転車を購入すると、TSマークについての説明があります。

TSマークの料金は?有効期限は?更新できるの?

新車購入時のTSマーク料金

新車購入時にTSマークを貼付してもらうための料金は店舗が独自に定めていますが、相場はおおむね500円といったところです。

TSマークの有効期限

TSマークには「1年間」の有効期限があります。上のほうで紹介した写真は、期限が切れていますね。

TSマークの更新と料金

TSマークは更新することが可能です。販売店や地域の自転車商組合では、更新の通知ハガキを送付しているところも数多くあります。更新時には、もちろん「自転車安全整備店」にて自転車安全整備士による点検・整備を受けます。

更新の料金も店舗が独自に定めていますが、点検料金相場は青色で1,500円、赤色で2,000円といったところ。購入店で更新する場合は少し安くしてくれる場合も多いです。この金額はあくまでも「点検」ですので、修理しないといけない場合は別途費用がかかります。

新車時にはTSマークを貼っていなかった自転車でも、「自転車安全整備店」にて自転車安全整備士による点検・整備を受けることで料金を払うことで貼ってもらうことができます。料金の相場は更新に準じます。もちろん修理費用は別途かかります。

余談ですが、よく「自転車の点検にはいくらかかりますか?」という問いに対して帰ってくる金額(例えば「修理代は別で1,500円です」など)は、TSマークの更新料金がベースになっていることが多いようです。

TSマークは搭乗者を問わない

TSマーク付帯保険は「自転車に付帯」しています。つまり搭乗者を問いません。所有者本人はもちろん、家族でも友人でも大丈夫。

また、TSマーク貼付時の必要書類に記入する際、名義を企業・団体とすることも可能。事業で自転車を使う際にも有効です。

TSマークが貼付された自転車で事故にあったら

事故受付センターが設置されており、センターに連絡することで、「傷害補償」や「賠償責任補償」の請求手続、「事故の相手方への被害者見舞金」の請求手続が可能です。

おわりに:TSマークの注目度は上がっている?

筆者の個人的観測範囲では……という断り書きは付きますが、近年TSマークに対する注目度が上がっているように思います。

自転車保険の必要性が、本来の意義を通り越して脅迫めいた喧伝とともに説かれる中、補償内容こそ「最低限」といった感はあるものの、自転車本体に付帯し搭乗者を問わず、事業所の自転車も対象となり、自転車の安全点検とセットになったTSマークという制度は、なかなかメリットが多いのではないでしょうか。

販売店側でも、(どちらかというと面倒な業務の範疇だとは思うのですが)既存顧客をフォローする手段として有効に活用しようという動きを感じます。

お持ちの自転車にTSマークが貼られているという方は多いと思いますが、同時に「有効期限が切れている」という方も多いことでしょう。TSマークの更新、ぜひ検討してみてください。

※特記以外の引用は、(公財)日本交通管理技術協会のWebサイトより

(Gen SUGAI)

[最終更新 2018/5/6]