おすすめなんてないよ!? あなたにぴったりのクロスバイクに出会うには

CyclingEXでは「おすすめクロスバイク」みたいな記事にいち早く取り組んでいた自負があるのですが、一方で「何が“おすすめ”なのかは、その人(乗る人)によって異なる」とも言い続けてきました。もう「おすすめ●選」みたいな記事はやりませんが、今回は「あなたにぴったりのクロスバイクに出会うには」という観点で、初心者の方の道標となるように書いてみたいと思います。

クロスバイクにもいろいろある

クロスバイクとは本来、ロードバイクとマウンテンバイク(MTB)のクロスオーバーという意味です。大まかに言えば、ロードバイクの軽快な性能と、MTBのタフさや多様な路面への対応能力をあわせもった自転車が「クロスバイク」ということになります。

しかし、クロスバイクもニーズに応じて多様化しておきました。クロスオーバーといっても、ロードバイク寄りの立ち位置なのか、MTB寄りの立ち位置なのか、そのポジションをどのへんに取るのかによって、いかようにでもなるからです。

ここでひとつ言えるのは、オンロード性能を期待している人が「オフロードも結構いけますよ!(ただしオンロード性能とトレードオフです)」みたいなクロスバイクを買っても期待を裏切られますし、その逆もしかりであるということ。つまり、クロスバイクのキャラクターを見分けて選ぶとよいでしょう。

巷には本当にいろいろなクロスバイクがありますが、CyclingEXなりに分類してみました。

オーソドックスなクロスバイク

まず、クロスバイクとしてもっとも一般的な、オーソドックスなものを説明します。

  • タイヤ径が「700C(ななひゃくしー)」と呼ばれる、ロードバイクと同じもの
  • 太さは32C〜38Cくらい(とりあえず32mm〜38mmくらいという解釈でOK)
  • ギアは前が2〜3段、リアが7〜9段くらい
  • わりとゆったりめの乗車姿勢

タイヤがまあまあ太く、ちょっとした砂利道であっても走ることができます。

実例を少し挙げておきますね。

BRIDGESTONE XB1(2023年モデル):税込72,000円

質実剛健な構成ながら、軽量でシャープな走行感覚が体感できるクロスバイク。スタンドやライト、カギなどが標準装備されており、実用性を重視しつ短い距離をシャキシャキとスポーティに走りたい人に向いています。

情報源: 実用性とスポーツ性能を兼備:BRIDGESTONE XB1(2023)

製品情報: エックスビーワン | スポーツ向け自転車 | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社

TREK FX 1 Disc(2023年モデル):税込82,390円

スポーツバイクらしさを表現しつつ、どんな風景にも似合う大人っぽいルックスのクロスバイク。フロントギア2段×リアギア8段の16段変速は、扱いやすくて実用的。通勤・通学からフィットネス、ちょっとした遠出までこなせる万能な1台です。

情報源: 普段使いから週末のおでかけまで万能なクロスバイク:TREK FX 1 Disc(2023)

製品情報: FX 1 Disc | Trek Bikes (JP)

通勤通学向きで「軽快車寄り」のクロスバイク

クロスバイクはロードバイクとマウンテンバイク(MTB)のクロスオーバーゆえ、その構造はスポーツ自転車そのものである場合はほとんどです。しかし、中には日本で言うところの「軽快車」「シティサイクル」の構造をもつクロスバイクもあります。「軽快車とクロスバイクのクロスオーバー」とでも言いましょうか。

以下のような特徴があります。

  • 車輪のサイズが軽快車用の26インチや27インチ(スポーツ自転車の26インチや700Cとは互換性なし)
  • 泥除けやロック(カギ)、ライト、スタンドなどが標準装備されている
  • (主に後輪に)軽快車で一般的なローラーブレーキが採用されている
  • いろいろな装備が付いている分だけどうしても重い

具体例として、下記を挙げておきます。

BRIDGESTONE TB1(2023年モデル):税込65,000円

クロスバイクのスポーツ性能と、シティサイクルの扱いやすさが融合した自転車。タイヤサイズは27型シティサイクルと同じです(一般的なクロスバイクの「700C」とは互換性なし)。フェンダー(泥除け)やスタンド、ヘッドライトを標準装備しています。

情報源: 通勤通学にぴったりの街乗りクロス:BRIDGESTONE TB1(2023)

製品情報: TB1 | スポーツ向け自転車 | 自転車 | ブリヂストンサイクル株式会社

オンロード性能を重視したクロスバイク

自転車で、舗装されていない道なんか走ったことない——そんな人も少なくないでしょう。それくらい、舗装は進んでいます。軽量なフレームと(クロスバイクとしては)細めのタイヤを装備してオンロード性能を高めたクロスバイクは、一定の人気があります。

特徴をかんたんにまとめますと、

  • 軽量なフレームで走りも軽い
  • 700×28〜32Cくらいのタイヤサイズ
  • 前輪と後輪のあいだの距離(ホイールベース)がやや短い
  • ハンドリングが軽いが、人によっては「ヒラヒラする」と感じるかも

……といったところです。

代表例として、GIANT ESCAPE R3を紹介しておきます。

GIANT ESCAPE R3(2023年モデル):税込79,200円

シティサイクルしか乗ったことがない人でもすんなりなじめる乗車姿勢と、持っても乗っても軽い車体が特徴のクロスバイク。通勤通学から週末のサイクリングまで、マニアじゃなければこれ1台で何でもこなせます。R3とR3 MSとでは一部の変速パーツが異なります。

情報源: クロスバイクの代名詞的ロングセラー:GIANT ESCAPE R3/ESCAPE R3 MS(2023)

製品情報: 2023 GIANT Bicycles | ESCAPE R3

オフロードも結構いけちゃう「グラベル寄り」のクロスバイク

ドロップハンドルで、オンロードもオフロードも行ける「グラベルロードバイク」というジャンルがあります。その要素を、クロスバイクに持ち込んだものが増えてきました。クロスバイクの原点回帰とも言えますが、オーソドックスなタイプよりももう少しオフロード寄りになっており、実用性だけでなく遊びのツールっぽい雰囲気を醸し出しているのが特徴です。

  • タイヤサイズが700×40〜45Cくらい
  • もしくは27.5×1.75インチ〜、650×45C〜といった太めのタイヤ
  • ディスクブレーキを装備している
  • 遊び道具的な雰囲気
  • 安定した走行性能
  • 車体は少し重め

……といった特徴があります。

代表例として下記を挙げておきます。

TREK Dual Sport 2 Gen 5(2023年モデル):税込109,890円

舗装路から河川敷などのフラットなオフロード(グラベル)まで、幅広く楽しめるクロスバイク。キャリアやバッグなどを取り付けて、旅自転車に仕立てることもできます。

情報源: 路面を選ばず乗り心地もよいクロスバイク:TREK Dual Sport 2 Gen 5(2023)

製品情報: Dual Sport 2 Gen 5 | Trek Bikes (JP)


ここに挙げたものがすべてというわけではありませんが、現在発売されているクロスバイクは上記のいずれかには分類することができるかと思います。あてはまらないものは、例えばフロントサスペンション付きのクロスバイクなどでしょうか。昔は、それが定番スタイルだったんですけどね。

どれくらいの予算を見ておけばいいの?

初めてのスポーツ自転車であれば、クロスバイク本体以外にも揃えるものがいくつかあります。ライトやカギ(ロック)などは、その代表格。空気入れ(フロアポンプ)も必要ですし、週末にサイクリングで遠出したいなら、パンク修理キットや予備チューブ、携帯用ポンプなんかも必要です。また、2023年4月1日よりヘルメットが全年齢努力義務になることもあり、ヘルメットも欲しいところ——そう考えていくと、クロスバイク本体+用品で、結構な金額になるのは確かです。

クロスバイク本体にかける予算の目安として、7万円〜10万円を考えてください。5万円強で一流メーカーの優れたクロスバイクが買える時代は過ぎ去りました。

前後ライト/カギ(ロック)/フロアポンプ/ヘルメット——を必須アイテムとすれば、これら用品で2万円〜3万円ほど見ておきたいところです。せっかくなので、例となる製品を挙げておきましょう。

ライト:CATEYE AMPP300 / RAPID micro SET(税込5,280円)

photo_キャットアイ

情報源: AMPP300 / RAPID micro SET | 製品情報 | CATEYE(キャットアイ)

カギ(ロック):ABUS NUMERO COMBO 5510 WITH MOUNT(税込4,180円)

photo_ダイアテック

リンク: CATALOG & STORE diatecNUMERO COMBO 5510 WITH MOUNT(BLUE): ABUSダイアテック公式サイト

フロアポンプ:TOPEAK ジョーブロー スポーツⅢ(税込6,600円)

photo_マルイ

リンク: TOPEAK

ヘルメット:KOOFU CS-1(税込8,580円)

photo_オージーケーカブト

関連記事: 大人用のおしゃれな自転車ヘルメット:オージーケーカブト「KOOFU CS-1」 – CyclingEX CLASSIC

これら以外にも、休みの日にちょっと遠くまでサイクリングをしたい、通勤距離がそこそこ長いといったような人であれば、パンク修理キットや携帯ポンプ、予備チューブを揃えておきたいところですね。

あたりを付けてお店に行くか、お店に行って買えるものから選ぶか

自転車はたくさんのメーカー・ブランド、そして車種があるので、残念ながら「なんでも揃うお店」はありません。この記事で紹介したごくわずかなクロスバイクですら、全部置いてあるお店はないでしょう。

したがって「自分に合いそうな、欲しいと思えるクロスバイクをあるていどリストアップしておいて、取り扱い販売店を調べて見に行く」か、「信頼できそうなショップを探して、そこで取り扱っているモノの中から選ぶ」かの、どちらかになるかと思います。

さらに、自転車の場合は「欲しいものが欲しいタイミングで流通しているとは限らない」という現実もあるので、ある程度「運」や「タイミング」も少なからずあります。「絶対にコレしか欲しくない!」と決めてかかるよりは、候補を少し広めに考えましょう。一方で安い買い物ではありませんから、譲れないところを決めておくとよいと思います。


いろいろなモノの価格が上がっている中で、自転車だけが値上げしないということはありえず、実際に2020年あたりと比べるとかなりの価格上昇が起きているのが現実です。だからこそ、ぜひ自分にあったクロスバイクを吟味し、そして長く付き合える1台と出会ってほしいと思っています。

[最終更新 2023/3/2]

(SUGAI Gen)

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