もしかして:道交法における自転車道の「〜車道の部分をいう」って……

素朴な疑問と言うか、ふと思った……というか。答えはありません。「えっと、これってどうなんだろう」とか「もしかして〜なの?」とか、そういうレベルです。道交法における、自転車道の定義について。

道路交通法には、自転車道というものについて、次のように書いてあります。道路交通法第一章「総則」より。

140518_c

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(中略)

三の三 自転車道 自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう。

引用元: 道路交通法.

ここが問題。

『自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう

ちなみに歩道と車道については、

歩道 歩行者の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう。

車道 車両の通行の用に供するため縁石線若しくはさくその他これに類する工作物又は道路標示によつて区画された道路の部分をいう。

と、書かれています。

しかし、かといって、道交法はそれら歩道・車道・自転車道の具体的な構造には言及していません。まぁ、当たり前ですよね。ちなみに「道路とはなんぞや」ということについては、

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 道路 道路法 (昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項 に規定する道路、道路運送法 (昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項 に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。

と、書かれているわけで。

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道路交通法の言うところの「自転車道」に戻ります。

『自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分をいう

「車道の部分」って、今、この問題について熱心なサイクリストの間では「いわゆるクルマが走る車道側の面」と解釈されているように思います。だから、歩道側の面に作られた自転車道は、道交法上の自転車道ではない……という説が有力です。

そして国土交通省の会議の資料にまでそういう文言が登場していたことは、先日書いた通りです(コチラの記事)。

しかし、中央線の特急電車に揺られている最中に、ふと思いました。

歩道側の面だろうが車道側の面だろうが、既存道路でかつて歩道であった場所だろうが、新設道路であろうが、『自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された』ものは、それはもう道交法的にも「自転車道」であり、そしてそれは道交法上は「車道として考えますよ」という話なのではないか、と。

そして現実的に、道路の交通規制について規制を行い標識を出すのは公安委員会で、そして標識の設置等により規制を行う際には、道路管理者の意見を聴かなくちゃいけない……とあります。道路管理者は道路法や道路構造令に基づいて道路を作りますから、仮に通りいっぺんとうの「意見を聴く」であったとしても、ここに、道交法と道路法、道路構造令はかすかながらもリンクするのです。

そして道路構造令では、自転車道について、

第二条 この政令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 歩道 専ら歩行者の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。

二 自転車道 専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分をいう。

引用元: 道路構造令.

このように書かれているのです。つまり「車道の部分」とは言っていない。

(それを言うと、ちなみに道交法も「車道を一部分を区画したもの」だとも言ってない。だいたい、構造物で分離したら、それが従来なんだったかなんて関係ないではないか)

と、いうことは。

道路管理者が道路構造令にのっとった自転車道を作る。公安委員会がそれを交通規制により「自転車道」として、標識も設置する。そしてそこは道交法上では「車道」として扱いますよ……ということは、十分成立しうるのでは?と、思ったのです。

繰り返しになりますが、もしかしてですよ、歩道側の面だろうが車道側の面だろうが、既存道路でかつて歩道であった場所だろうが、新設道路であろうが、前後が歩道に接続されてようが、『自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された』ものは、それはもう道交法的に「自転車道」であり、そしてそれは道交法上は「車道として考えます」という話だったりするのでしょうか?

冒頭に書いた通り、今は「思った」というだけであり、何の確証もありませんし、ネット上で調べて済むようなことでは無くなっています。誰に何をどう聞けば適切なのかも考えて、後日調べてみたいと思っています。

最後に。

自転車に乗る者としていちばんの問題は、ここまで書いてきたような、法解釈では「ありません」。道路交通法が定めるところの、そして公安委員会が交通規制を行う自転車道があります。そして、川沿いのサイクリングロードに代表されるような、道路法に基づく自転車道もあり、そして、この両者どちらにも「自転車専用」の道路標識(325の2)が掲げられるということです。つまり自転車道の定義がわかりにくい。もし、道路に車道と歩道と自転車道があって、それが道交法の言うところの自転車道であるのなら、そして公安委員会により規制が行われているなら、

第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場 合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。

(罰則 第百二十一条第一項第五号)

引用元: 道路交通法.

……というわけだから、自転車道を通行しないと違反になってしまうのです。「ここは道交法上の自転車道では無いだろう」と決めてかかったら、違反になてしまったなんてことは、起きてはいけないと思うのです。

※追記:自転車道の構造をしていれば規制を行うまでもなく、それは道交法的にも自転車道である……とも考えられます。そして道交法上、自転車道があれば自転車は自転車道を通行しなくてはいけません。

なるほどなぁ。

(Gen SUGAI)






BikeConscious

2件のコメント

  1. 道交法についてはCyclingEXさんの見解と同じです。
    実際に運用されるときに標識が出るはずで、それで分かると思います。

  2. 確かに道交法の「自転車道」の定義は、関連法令と不整合なだけでなく、それ単体で見ても奇妙ですね。まるで、元々車道だった部分をガードレールで区切った程度の、社会実験レベルの自転車道しか想定していないように見えます。

    (国会会議録「61-参-建設委員会-24号 昭和44年07月08日」での蓑輪健二郎氏と松永忠二氏のやり取りも参考になると思います。http://kokkai.ndl.go.jp/)

    現行法の下での解釈はさておき、自転車道は無理に「車道の部分」とするより、車道、歩道と並ぶ第3のカテゴリとして認めてしまった方が体系は整然としますね。海外の例では、例えばオランダのRVV1990(交通規則・道路標識法)の第1条(http://wetten.overheid.nl/BWBR0004825/HoofdstukI/Artikel1/)に

      ”rijbaan: elk voor rijdende voertuigen bestemd weggedeelte met uitzondering van de fietspaden en de fiets/bromfietspaden”
      (車道: 道路の中で走行車両の為に用意された部分。但し自転車道と自転車/モペッド道は除く。)

    という定義が見られます。また、オランダの実際の道路構造を見ても自転車道は自転車道であり、車道からも歩道からも独立しています。先日の記事に私が投稿したコメントは形式論に拘りすぎた嫌いが有りますね。本質を外していました。

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